そぞ録゙

批評家になりたいわけじゃない人の作文練習です。

濃縮還元『orange』

レディースデー適用対象であるところの私、本日、日付が変わって昨日、かねてよりコブクロが主題歌をつとめる映画『orange』を鑑賞してきました。やっと!

水曜日の真昼間なのになんでこんなに女子中学生で溢れかえってるの!?!?と思ったら祝日だったんですね。
妹くらいの女の子たちがたくさんいました。
混みすぎ連番失敗ガールズ達と席を変わってあげたら小声で「優しいね」って話されました。もっと大きい声で褒めてね。


筋金入りのコブクロファンの独断と偏見で感想を綴ってまいりますので、劇評ではありません。悪しからず。
また、あらすじをわざわざ書くようなことはありませんが大いにネタバレになっていると思います。未見の方で知りたくない方は自己責任でお願い致します。


( ´ ▽ ` )ノ




私、原作は未読で臨んだのですが、あれ菜穂にくる手紙はどのような手段だったのでしょうか?
ポストであるとか、机に入っていたとか、最初のシーンで菜穂がカバンから出したから、カバンに入っていたのか…
未来の菜穂と須和が土に埋めているけれど、そこからどこへ飛んだ(?)のか…

それと、最終的に翔が死ぬはずだった日には死なずに済んだわけですが、未来の菜穂達は5人でしたよね。
これは「その日には死なずに済んだけれどまた別の“翔が死んでしまう”未来」が訪れてしまうのか、それとも「パラレルワールド」のくだりがマーカーになっていて、もうこの『orange』の世界観は「パラレルワールド」であり、高校生の菜穂達と未来の菜穂達とは世界を全く異にしているのか…

前者だったらあまりに絶望的すぎる…
ラストのorangeの夕焼けが示す先はパラレルワールドを越えた明るい未来であって欲しいと思います。
(ちょっと黒澤明の『羅生門』を思い出した)


タイムスリップものって思いつくもので『仁』
『Back to the future』とか色々あるけれど(後者は見たことがありません…)、根幹は「過去に行って未来を変えたい」ってところですよね。

これはorangeの中の翔であり、また菜穂であるわけです。
10年後の未来の菜穂と高校生の翔がまるで鏡写しのように感じました。



原作未読で臨みましたが、疑問としては上記のものくらいで、あとは全くすんなり物語として入ってきました。

未読とは言ってもコブクロいわく「原作すりおろし」の主題歌はもう幾度となく聴いているので、そこかしこ要所要所で 未来 が顔を出すわけです。

やっぱりコブクロのファンとしては、1カット目で早くもウルッときました。黒田さんがジャケットまわりをやってくれて…って話がありましたが、コブクロの10年と『orange』とがリンクしている…すりおろしどころか濃縮還元丸搾りですよね。濃い。

四季の木の枝が折り重なるような画面。
原作漫画にもあったのかしら、と思わせるような。ここが小渕さんのインスピレーションに触れたのかしら、と思ってしまうような。
冒頭3分足らずでギュギュッと丸搾りされてしまいました。


中でも1番印象に残った場面があって、体育祭だったかな。マットを運ぶシーン。
6人で持って、翔が初めて6人に心を見せて、マットから手を離すシーン。
手を離した瞬間の翔の手がアップで映されたカットが、2時間半の、幾つものカットの中で、1番胸に強く残りました。

「抱えていた大きな荷物も大切に運ぶから」

歌詞と、心と、物理的な荷物がすべてリンクした瞬間でした。



こう思うと、ストーリーを観て歌を聴いて…というよりも、先に歌を聴いて歌詞がストーリーに自然とリンクしてしまうような、不思議な経験をしました。新しい感動がありました。




菜穂の後悔も、翔の後悔も、「気持ちを伝えられなかったこと」「相手を見てあげられななったこと」だったのかな。

後悔しない、なんて絶対に無理だと思うけれど、「ありがとう」「ごめんね」「大好きだよ」と思ったときに言えるように心がけていたい。

とくに、「大好きだよ」の言葉は思っている以上の支えになるんじゃないかな、なんてラストのシーンを見て思ったり。



机の中の日記は、きっと未来の菜穂への手紙だったのかもしれない。




隣の女子中学生、「ラブシーン少なかったね」なんて言っていました。年齢が違うと感じることもきっと違うんだろうな。
今の私がこの映画から感じたのは「誰かの“好き”は誰かの生きるエネルギーになりうる」ということでした。


映画館にたくさん溢れていた10代も前半の彼女達が、大きくなって何かの拍子にこの 未来 を聴いて、なにか思うことがあったらいいな。

と、最後にコブクロファンらしい偏ったことを書いて、締めの挨拶と代えさせて頂きます。


今日は長い。



ツチカワ