『ホテル・カリフォルニア』
『ホテル・カルフォリニア』です。
開演して数十分、「これ綴りが違うじゃん!これじゃあ『ホテル・カルフォリニア』だよ」ってセリフが出てくるまで私も『ホテル・カリフォルニア』だと思っていました。
イーグルスの曲だそうですね。
聴いたことある人は多いかも。渋くてカッコイイ曲です。
それくらい、少々福士誠治から離れた状態での観劇スタートでした。
何なら千穐楽の時間も勘違いしていて、危うく劇場に来たらすべてが終わっていたところでした。
座長である福士誠治、開演すぐにオールバックで出てきます。かっこいい。胸元開いてます。かっこいい。
福士演じるヤクザサイドの物語が進み、ホテルの従業員サイドの物語が進み、交わったところからはほとんど出ずっぱりでした。
ホテル・カルフォリニア、ホテル・カリフォルニア をもじった漫画が原作なのですが。
私は楽日前日と楽日の二日観劇しましたが、原作の漫画を読んでいないぶん、一日目は物語についていけませんでした。結構ハチャメチャ。
二回目ともなればなんとなく物語の流れもセリフも覚えてきます。
そこでおぼえたのがコメディー勢の「間のとり方」への感動でした。
とくになだぎ武は私の中ではピカイチにツボで、「ナイス間オブザイヤー」的な大賞があってもなくても贈りたいです。
下ネタ、アドリブ、ゴリッッッゴリで(特に千穐楽は)引っ掻き回しながら舞台全体のコメディー感に色をつけていく感じ、絡む役者まで面白くしてしまうのは彼が芸人だからでしょうか。
くそう、だから芸人に憧れる。
こういう即興バトルみたいなものはドラマや映画ではなかなか観られないので、やっぱり舞台映えするなあ、と思いますね。
二回観てなんとなく流れやセリフがわかってきたと申しました。
つまり、どこがきちんと台本通り言っているセリフで、どこがアドリブだったのかも二回目でやっとわかったわけです。
アドリブだと思っていたところが本来のセリフだったり、本来のセリフだと思っていたらアドリブだったり。
声の抜き方や、それこそ間なんかの取り方で、アドリブっぽく見せて笑いを取る演技力も、とっさの出来事に冷静な判断でセリフを話す瞬発力も、舞台に立つ役者にとって重要な力だと思いますし、福士誠治にはそんな力があるんだよなぁ、と実感しました。
『ホテル・カルフォリニア』、原作を知らないので最後のシーンがやはりスッキリしていないのですが…
原作もあんな感じなんでしょうかね。
フライヤーから照明から「極彩色!」といった印象でしたが、ちょっと唐十郎の『下谷町万年物語』を思い出しました。
とはいっても蜷川幸雄演出の『下谷町万年物語』と大堀光威演出の『ホテル・カルフォリニア』がダブっただけの気もしますが…
でもなんとなく訳の分からない毒々しさがアンダーグラウンドな印象でした。ダーク。
こういう原作ものの内容について語ろうとすると、舞台や映画ではなく原作の話になってしまうのであまり得意ではないのですが
今回は全く原作を知らずに臨んだので単純に福士誠治のかっこよさと色気を楽しめた舞台でした。
このエロさは引きずりそうです。
福士誠治は舞台で映える役者だと思っています。(塩顔味噌俳優のくせに)
本人も「劇場に来てください。演劇を楽しみましょう。」と言っていました。
テレビの露出を熱く切望致します。
(大声)
ツチカワ