未来と私と待夢LESS
ゆっくりと幕があくようなSUNRISEから始まった『TIMELESS WORLD』。
このアルバム、ライブみたいだなぁ。という印象を受けました。
1曲目の「SUNRISE」は、CMで聴いていたのとずいぶんテンポ感や雰囲気が違っていました。
もっと爽快軽快な、照りつけるような朝日を想像していたのですが、それよりはもっと荘厳な感じ。
小渕さんのファルセットのコーラスが、まるで水面に映る黄色い朝焼けのような。
私はよく(不本意にも)朝番の仕事をする機会が多いのですが、特に冬なんかは朝5時半頃外に出るとまだまだ真っ暗なんですよね。
でも、6時半頃勤務先に着くと、もう空はオレンジ色に明るんでるの。
いつの間に、っていうくらい早くて遅い夜明け。
そっとアコギの音で始まって、ラストサビではすべての楽器が明るく照っている。
まさに夜明け。
そんなゆっくりとした大きな1日の幕開けのような歌。
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悶々ラブソング
つっちー on Twitter: "tOKi meki ってどこのギャルゲーとか思ってごめんなさい 早く曲説聞いて萌え死にたいんだけど思ってる曲調と違ったらどうしよう"
一番お気に入りでした。
案の定な小渕節炸裂の楽曲。tOKi meki 。
3小節目のベースがセクシー。そして第一声
胸踊る恋をしましょう
小渕さんのこういう可愛らしいラブソングって、第一声から「お!イタいねぇ!」と思わせられる。恋に恋する猪突猛進。
僕の目を見て君は魔法にかかっちゃったんだ/神風
多分空から降ってきたのだ それか夢でも見ているかだよ/太陽
可愛い曲は小渕さんのお家芸だけど、ここまで「キュート」 な歌って久しぶりではなかろうか。
テンポや曲調もさることながら、詩だけですでにそこには妄想癖のあるちょっとイタい男の子が見える。
こういう男の子を描かせたら右に出る者はいない。
10年どころかインディーズくらいまで遡ったような若々しい初々しい、イタい恋の歌が聴けると思います。
目的地周辺で案内は終了…
ここ、小渕健太郎の真骨頂だと思います。(笑)
同じラブソングでもまた黒田作の Tearless はガラッと趣が変わって。
LIFE GOES ON のときにも思ったけれど、エレクトリカルな音が面白い。第一印象は「カッコイイ」!
疾走感のあるメロディーにしなるような歌声が乗っていて色っぽい。
で、気を悪くされたら本当に申し訳ないが、黒田作詞から感じるそこはかとないヤンデレ感。
しかし私はこのヤンデレ感がたまらなく好きだ。
見てるだけで良かったのに 友達で良かったのに 手を繋ぎたい そばにいたい 君に愛されたい / To calling of love
僕の存在を必要とされたい 必要とした人を守ってあげられるなら / 心に笑みを
小渕さんもまぁかなり悶々とした妄想癖がほとばしる歌を書いてくれたけれど、黒田さんも相当悶々と自問自答していますね。
面白いのが、ちょっとネガティブ気味なんですよね。
「〜なら」「〜されたい」「〜できない」から伝わる陰と、陰から愛しい人の背中に伸びる手が見える気がします。
毎日、毎日会いたくて でもそんなわけにいかなくて
そばにいたい気持ちが 君を繋ぎ止めてしまうのなら いっそ離れてしまうことが愛なのかな
ンン〜。重い。
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愛が詰まったライブ
冒頭で「まるでライブみたいだなぁ。」と書きました。
それは、1曲目の SUNRISE の「1日の幕開け」=「ライブのオープニング」がリンクしたことに始まり、hana、星が綺麗な夜でした、Twilight、陽だまりの道、とライブで聴かせてくれた温かい愛の歌たちの存在が大きいかもしれません。
個人的な話ですが、私は2014年のライブツアー “陽だまりの道” のことを「生きようツアー」と呼んでいます。
また、2015年の “奇跡” ツアーのアンケートでは一発目に「生命力がすごかった」とだけ一言書かせて頂きました。(著しい語彙力の低下)
でも本当に、「生命力」ってそのまま「愛」なんではないかなぁ。とさえ思わせてくれるんですよね、コブクロは。
そして、血の繋がりだけでない。
どれだけ遠いところにいても届くほどの強い「愛」のことを「家族」と呼ぶのかもしれない。
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私とTIMELESS WORLD
何故、旅をするのだろう。
と、問いかけられまくる今日この頃です。
昨年の奇跡ツアーでは3箇所に参加し、遠征は二箇所。名古屋と大阪に行きました。
そしてつい最近では、大好きなワンピース歌舞伎を観に福岡は博多まで行きました。
この歌を聴くと、いつもこの日の博多の風景を思い出します。
もっと言えば、劇場に行くまでに通った橋、案内してくれた友の顔、劇場を出て泣きながら歩いた雨の博多。
ワンピース歌舞伎自体は新橋演舞場も行きましたし、「何故、旅をするのだろう」のPVにこの橋が出てくるのもワンシーン。
それでも、私の初めての博多旅に、これほど痛く強くコブクロの歌が刷り込まれているってことが幸せだ。と、思うのです。
福岡も、「一つ増えた帰る場所」 にカウントしても、いいかな?
そして恐らく最もフィーチャーされているであろう 未来 。
詳しい感想はシングルが出たときに書きました。
cf. 『未来』 - そぞ録゙
本当にこの歌をよく聴いていた頃、色々迷っていた時期だったんです。極めて個人的な話ですが。
精神的にも多少は疲弊していたし、リリースされたタイミングも重なったので毎日のように聴いていた。
私に限った話ではないと思いますし、それこそ「未来」だけの話ではないのだけれど、苦しい時期に聴いていた音楽って、オーバーラップするんですよね。
ここ最近のプロモーションで何度未来を聴いても浮かぶのは、武道館の北の丸公園の桜の枝なのです。
小渕さんが「音楽はまるでタイムマシン」だと言っていたような記憶があります。
その曲を聴くと、そのときの匂いや感情、その日の気温や天気も飲んだお酒の味さえも思い出される。
楽しい記憶も、悲しい記憶も、苦しさも悔しさも、聴くたびに思い出せる。
そういう意味でもTIMELESS WORLDは私のタイムマシンのような一枚だと思っています。
だから、今こうして狂ったように聴き込めば数年後の私はこのアルバムの曲を聴けなくなるのではないだろうか。
なるかもしれないけれど、いちいち未来の私なんて気遣ってはおられない。
これが良いことなのか悪いことなのか、また良くも悪くもあるのかもしれないけれど、私は「こうなりたい」「こうありたい」と思いながら生きてはおりません。
流れてきたところにコブクロがいた。
演劇があった。歌舞伎があった。
だから、コブクロも歌舞伎も、好きになろうと思って好きになったわけではありません。
ファンとしても人間としても非難されてしかるべきとは思いますが、10年先もコブクロを好きでいよう!とは思っていませんし、1年後の私がまだ歌舞伎を好きでいるかの保証もできません。
ただ、これまで色んな距離感でコブクロを聴いてきて、彼らの音楽に飽きたり、いわんや嫌いになったりなんてことが一度もなかったということが一つの結果ではなかろうか。
これから先、ライブに行けなくなる日が来るかもしれない。
発売日にCDやDVDを買えなくなるかもしれない。
それでも彼らは歌うし、私は生きるのです。
流れ着いた今日を生きて またどこかへと流れて行くだけさ/待夢磨心〜タイムマシン〜
「コブクロ」として生きてきた二人の人生の中、なんでもない10年間を切り取ったアルバム。
「10年先もコブクロを好きでいるよ!」
なんて宣言はわざわざしないけれど、「コブクロ」という音楽のタイムマシンの行き先が、ゆっくり増えていくのは私の人生の楽しみです。
まずは tOKi meki あたりの手拍子でも練習しておこうかな。
ツチカワ