2016年心に残った舞台オブ・ザ・イヤー
今年も割とそれなりにたくさん舞台を観ました。
ワンピース歌舞伎から入ってきたニワカということもあり、一月の新春浅草歌舞伎を皮切りに(ほぼ)毎月歌舞伎を観ていたと思います。
ドン!
下半期にやや狂気しか感じない
ノミネート作品はこちら。
1.『うるう』(於:いわき芸術文化交流館アリオス)
4年前に上演されたものの再演。4年前は銀河劇場に観に行っていますが、今年は福島まで遠征しました!
冷たい北の空気がほんのり混じる中に、宮沢賢治のエッセンスをちょっぴり取り込んだような『うるう』の雰囲気がぴったりでした。
4年前、私はまだまだ夢に夢見るうら若き高校生でありましたが、今はそれなりに厭世観も帯びてきたフリーター。「4年」というものの大きさや長さ、積み重ね、別れ、あの頃と同じ感動も異なる感想も、いろいろ出てきた大好きなお芝居。
ちなみに、私が初めて観に行った舞台は、4年前の『うるう』でした。
2.スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』(於:博多座)
ハイ!私の原点!ワンピース!
と言っても新橋演舞場の初演の頃には『ワンピース』の話なんて全く知らなくて、舞台を観ていてもほとんどの登場人物は知らない人たちで、もちろん役者さんも多分ほぼ全員知らない人。
(少し話は逸れるが、昨年2015年に上演された歌舞伎NEXT『阿弖流為』を観た頃は、中村勘九郎すら知らない非国民だった。)
その初演から約4ヶ月ほどの時を経て、役者を推すようになり、漫画を鬼のように買い漁り(結局観劇日までに原作は読み終わりませんでした)、博多座へ行く頃には大ッッッッ好きな舞台になっていました。
熊本の地震があったりもして、きっと役者さんたちもお客さんも沢山思うことがあったであろう博多公演。
来年も10月と11月に再演があるけれど、もし機会があればぜひ博多座でも。あの日観られなかった人達が観られることがあればいいなあって思います。
3.木ノ下歌舞伎『義経千本桜-渡海屋・大物浦-』(於:東京芸術劇場シアターイースト)
私の、人生二度目になる木ノ下歌舞伎。
ご存知の名作『義経千本桜』より「渡海屋・大物浦」の場面を現代化アレンジしたもの。
この一週間後に歌舞伎座で「渡海屋・大物浦」を観たので、そのまま残しているところやアレンジされているところ、話の筋など比較できたのも面白かったですね。
終演後ロビーにて、(おそらく)関係者と思しき方々たちが挨拶しているのを20分くらいじっと待って、主宰の木ノ下氏にいくつか質問させていただいたりしたのも思い出。
こんなパッパラパーの私の質問なんぞにも丁寧に答えてくださった主宰…
間違いなく私を歌舞伎好きにした1人だと思います。
4.八月納涼歌舞伎(於:歌舞伎座)
これはもう言わずもがな。
※歌舞伎公演は演目単位ではなく興行ごとに挙げさせていただきます。
5月に初めて歌舞伎座に来てから3ヶ月。
幕見や三等席を利用しながら、上から観続けていた私がとうとう一階席デビューをしました!
「納涼歌舞伎」、「三部制」のせいで(本当に少しだけ)安かった切符代。初めての一階席はかぶりつき一列目でした。
遮るものが全くなくて動揺する私
幕見、下界席含め一番課金したのが『嫗山姥』でした(贔屓が二人いっぺんに出ていた上に仕事前に行ける時間帯だったのが敗因)。
お祭りのような『東海道中膝栗毛』や、キュンと切なくて温かい新作歌舞伎『廓噺山名屋浦里』などなど、古典も新作も楽しい演目が目白押しの、夏休みにぴったりな浮かれた1ヶ月でした。
浦里については以前感想を書きました。
(お写真も含めて6万超えたことについてはもう触れないでください。)
5.歌舞伎女子大学『菅原伝授手習鑑に関する考察』(於:学習院女子大学やわらぎホール)
坂東新悟丈のブログで知ったこの公演。
以前、木ノ下歌舞伎にも出ていた熊川ふみさんも出演されると知って観劇しました。
単純に現代化アレンジする、だけではなく、とあるOLであったり男の子であったり。どこにでもいるような「誰か」の目を通して「歌舞伎」を考察していくお芝居。
再演の『妹背山婦女庭訓に関する考察』と、今年の新作『菅原伝授手習鑑に関する考察』の2作が上演されましたが、2回観たこともあって菅原〜 の方が印象に残っていたということで、こちら。
はじめは独特の形式やめくるめく登場人物たちについていくのに必死だったけれど、2回も観ればすんなり物語は入ってくるし、時間の経過とともにじわじわと脳と心に染み入ってくるような舞台でした。
おそらく、最後の「梅王丸は本当はこうしたかったんじゃないか」エンドの場面で流れていた音楽だと思います。
参照:坂東新悟のしんごろく-「考察」 http://s.ameblo.jp/goroku456/entry-12219545571.html
二週間は引きずる舞台でしたし未だに思い出しては泣きそうになる…
『菅原伝授手習鑑』が大好きになった、印象深い舞台でした。
以上、5作品です。出揃いました!!
なんだか『うるう』以外全て「歌舞伎」って入ってますね。
一応 歌舞伎2:現代劇3 の割合なのですが、歌舞伎を元ネタに作っているお芝居が多い気がします。
歌舞伎役者の座組に外部の役者を取り入れたスーパー歌舞伎
現代劇役者の中に歌舞伎役者を組み込んだ歌舞伎女子大学
現代劇役者のみで歌舞伎を現代をアレンジした木ノ下歌舞伎
「じゃあ何が歌舞伎なのさ!」
の定義がわけわかんなくなるような新しい歌舞伎
何が歌舞伎なのか。
私は詳しくないのでわかりません。が、割とお芝居は雑食で何でも美味しくいただけることがわかったので、途中で「あ、これはミュージカルみたい」と思えばその心持ちで楽しめるし、「これは演劇に寄ってるかもしれない」と思えばそれはそれでまんまと感動して帰れる。
改めてお芝居が好きだなぁ、と感じた一年でした。
さて!
そんな個性的な私的ノミネート作品
果たしてグランプリは……………!?!?
無し!!!!!!!!
全部好き!!!
ここに載せていないものも全部楽しかった!!!!!
代表として
「何だかめっちゃ金かけたわ(笑)」
「観た後も数日思い出し泣きをするなどしていた」
などなど振り返って思い出深いものを並べてみました。
歌舞伎を観始めたり、歌舞伎役者を追っていたら巡り巡ってまた現代劇に戻ってきたり、その影響で小劇場演劇に再び興味を持ったり、苦手なミュージカルを克服したり……
たくさんのお芝居に出逢えた2016年に感謝しつつ、2017年はもーっとたくさんのお芝居に出逢えたらいいなと思います。
ちなみに私の2017年芝居初めは新春浅草歌舞伎、初日から始まる予定です!
良いお年を。
ツチカワ