そぞ録゙

批評家になりたいわけじゃない人の作文練習です。

#歌舞伎みたよ

盛り上がっていますね。

国立劇場名物(?) 歌舞伎鑑賞教室

 

 

解説のお兄さんこと中村隼人丈 そして出演者皆々様のご提案で、ハッシュタグをつけて写真を拡散する試みがなされています。

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きっと生まれて初めて歌舞伎を観るであろう学生さんたちのツイートをたくさん拝見しています。たくさんふぁぼしてごめんね。

 

 

スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース 新橋演舞場の初演で歌舞伎にハマり、本格的に観始めてから一年半ほど経った私の初めての歌舞伎も、大学1年のときに文学部で行った国立劇場の歌舞伎鑑賞教室だったなぁ…と懐かしくもなったり。

 

 

2013年7月7日。

その時の解説のお兄さんは中村萬太郎丈で、演目は芦屋道満大内鏡ー葛の葉ー』

萬太郎丈のお父様、中村時蔵丈の葛の葉でした。

 

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コレ

 

…と、わかったのも歌舞伎にハマってから。

「そういえば学生の頃観たなぁ」と思い出し、国立劇場アーカイブで年と月、演目を調べてキャストが判明したくらいのもんです。

 

で、当時見終わった後のツイートがこれ。

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これだけかよ

 

せめて一言くらい感想を残しておいて欲しかったと思います。

でもまぁ、昔から演劇自体は好きだったし、授業の中で多少予習もしていたし、萬太郎先生の解説のおかげもあり、それなりに楽しんだような……(曖昧)

 

 

しかし次に私が歌舞伎作品に触れるまで3年

 

3年後の6月、歌舞伎役者は出ていませんが木ノ下歌舞伎の三人吉三を観た時に「歌舞伎って実はこんなに深くて複雑で繊細な演劇なんだ」と衝撃を受けたことをよく覚えています。

 

 

ストレートプレイから演劇にハマり、まず“物語”が芯としてしっかりあるものが当たり前だったので、三人吉三は当然私の好きなお芝居であったし、逆に『阿弖流為』や『ワンピース』みたいな派手でひたすらカッコいいお芝居を「楽しい!」と思ったことが今でも不思議でなりません。

 

 

突拍子もない展開が苦手、ファンタジーもダメ、突然歌い出すミュージカルなんて以ての外。

たぶん、葛の葉くらいのファンタジーが当時の私の許容ギリギリだったような気がします。

 

 

 

ちなみに今月の国立劇場でかかっているのは『毛抜』

言わずと知れた荒事、歌舞伎十八番の一つですね。

 

鑑賞教室に行った学生さんの観る前のツイートに「え、毛抜きの話なの?」というのを見かけましたが  毛  抜  き  の  話  で  す  。それ以上でも以下でもない

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いや、あらすじとしてはきちんと筋立てがあるんですけど、話自体を楽しむというよりかっこいい弾正さん、かわいいお姫様、綺麗なお姉さまを愛でる気持ちでいると楽しいかなと。

 

今の私ならそれで納得がいきます。

 

 ところが、またまた私事ながら、『毛抜』は歌舞伎にハマった頃に一度観に行っているのですが、寝てないはずなのに記憶がないのです。

 

ストレートプレイばかり観ていて、何度も言うけど話がしっかりしてることがまずもって大前提の当時の私が歌舞伎十八番なんて観たものですから、ほんの1年ちょっと前の話なのに断片的にしか覚えていないという。

自分でチケットを買って、お金を払って、自分の足で観に行ったにもかかわらずこのザマ。

 

それでも好きな役者は観たくてイヤホンガイドを使ったりあらすじを調べたり(時には話そっちのけで役者を凝視したり)…

徐々にわかる役者も増え、言葉も耳に馴染んできて、荒事や舞踊も人並みに楽しめるようになったのはここ半年くらいです。

 

 

とは言えやっぱり、 木ノ下歌舞伎 や 歌舞伎女子大学 なんかの劇団さんがされていた「現代劇アレンジ」を観て好きになった演目も多いので、今でも多少長くて複雑でも、お話ありきのものが好きなんだろうなぁ。

(丸本物(浄瑠璃元ネタ)が好きなのかもしれない)

 

 

 

演劇好きの大学生だった私がお芝居系の演目を好きになったように、音楽が好きな人ならきっと下座音楽鳴り物(あれ全部liveだからね)、お化粧が好きなら独特のメイク、服が好きなら衣装もカッコイイし、何かわからないけど派手なのが好きー!な人はそれこそ『毛抜』とか『暫』とかすっごい楽しいと思いますよ。

ダンスが好きな人は舞踊もあるし。舞踊だってポップでコミカルな松羽目物もあれば、流麗でなまめかしい清元だってある。

 

 

私は歌舞伎のこういう、全方向からのアプローチにも対応できる大きなところが好きだったりするのです。

 

 

物語をじっっくり楽しむのはもちろん好きだし、たくさん観ていくと同じ話を何回と観ることも出てくるから、そうなると役者さんによる雰囲気の違いが面白かったり。「この人のこれ私好きだなぁ」と思うともう一度観たくなったりして楽しい。

 

 あと知らないお芝居を観る時も知ってる役者がいるとちょっと安心しますよ。その人を見てればいいから。まずは推してからっていうの全然アリです。オススメ。

 

 

 

いろいろ言ってきたけど別になんのことはない、私は楽しいことが大好き可愛い女方が大好きなただのオタクで、特別伝統芸能に触れたいわけでも日本の文化を守りたいわけでもなく。


とはいえハマると「こんなに楽しいもの、未来に残してやらんでどうする!」と思わされるけど(笑)

 

 

結局、これだけのジャンルや演目があるわけだから、一概に「ここれがいい!」とは言えないと思うのね。

 

極端な話『毛抜』が肌に合わず寝てしまった人が、もしかしたら『熊谷陣屋』を面白いと思うかもしれない。
3年後に『毛抜』を観たらなんだか不思議と楽しめるかもしれない。

 

 こんなに選び放題の演目がある中で、大好きな演目や、お気に入りの役者さんが見つかればいいなぁと思います。

 

 

 

 

そして、私は歌舞伎のファンになってからというもの、「あぁもっと早くに出会っていれば!」と思うことが何万回もあります。ジャンルは違えど新参オタクが必ず通る道ですよね。

しかも伝統芸能なので言い出すとキリがないんですけど、それでも出会いにはすべてタイミングがあると思うんですよ。

 

今日だけの出会いが全てじゃない。

 

もし、今日鑑賞教室を観て、本編は寝ちゃったけど隼人さんがかっこいいな、と思ったなら、ファンになれとは絶対言いません。

でも「歌舞伎」と聞いて、時々思い出してくれたらいいなぁ、と思うのです。

 

いつかまたどこかで隼人丈を観た時に、もしかしたらその時があなたの本当の出会いかもしれない。

 

 

 

ちなみに私を歌舞伎の沼に引きずり込んでくれたのは隼人丈でした。かっこいいよね。キラキラしてるよね。

 

今好きな役者さんは、ブログを読んで好きになりました。どこに出会いがあるかなんてわからない。

 

 

これから何百年も続いていくであろう歌舞伎といつかどこかで再会したときには、共に沼で溺れましょう。こっちの世界は楽しいよ。

 

 

 

 

ちなみに #歌舞伎みたよ ってタイトルなんですが実はまだ国立劇場行けてません()

来週行く予定なので今から楽しみです\(^o^)/

 

二度目の『毛抜』はきちんと記憶に残してきます(笑)

 

 

ツチカワ