そぞ録゙

批評家になりたいわけじゃない人の作文練習です。

#歌舞伎みたよ

盛り上がっていますね。

国立劇場名物(?) 歌舞伎鑑賞教室

 

 

解説のお兄さんこと中村隼人丈 そして出演者皆々様のご提案で、ハッシュタグをつけて写真を拡散する試みがなされています。

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きっと生まれて初めて歌舞伎を観るであろう学生さんたちのツイートをたくさん拝見しています。たくさんふぁぼしてごめんね。

 

 

スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース 新橋演舞場の初演で歌舞伎にハマり、本格的に観始めてから一年半ほど経った私の初めての歌舞伎も、大学1年のときに文学部で行った国立劇場の歌舞伎鑑賞教室だったなぁ…と懐かしくもなったり。

 

 

2013年7月7日。

その時の解説のお兄さんは中村萬太郎丈で、演目は芦屋道満大内鏡ー葛の葉ー』

萬太郎丈のお父様、中村時蔵丈の葛の葉でした。

 

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コレ

 

…と、わかったのも歌舞伎にハマってから。

「そういえば学生の頃観たなぁ」と思い出し、国立劇場アーカイブで年と月、演目を調べてキャストが判明したくらいのもんです。

 

で、当時見終わった後のツイートがこれ。

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これだけかよ

 

せめて一言くらい感想を残しておいて欲しかったと思います。

でもまぁ、昔から演劇自体は好きだったし、授業の中で多少予習もしていたし、萬太郎先生の解説のおかげもあり、それなりに楽しんだような……(曖昧)

 

 

しかし次に私が歌舞伎作品に触れるまで3年

 

3年後の6月、歌舞伎役者は出ていませんが木ノ下歌舞伎の三人吉三を観た時に「歌舞伎って実はこんなに深くて複雑で繊細な演劇なんだ」と衝撃を受けたことをよく覚えています。

 

 

ストレートプレイから演劇にハマり、まず“物語”が芯としてしっかりあるものが当たり前だったので、三人吉三は当然私の好きなお芝居であったし、逆に『阿弖流為』や『ワンピース』みたいな派手でひたすらカッコいいお芝居を「楽しい!」と思ったことが今でも不思議でなりません。

 

 

突拍子もない展開が苦手、ファンタジーもダメ、突然歌い出すミュージカルなんて以ての外。

たぶん、葛の葉くらいのファンタジーが当時の私の許容ギリギリだったような気がします。

 

 

 

ちなみに今月の国立劇場でかかっているのは『毛抜』

言わずと知れた荒事、歌舞伎十八番の一つですね。

 

鑑賞教室に行った学生さんの観る前のツイートに「え、毛抜きの話なの?」というのを見かけましたが  毛  抜  き  の  話  で  す  。それ以上でも以下でもない

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いや、あらすじとしてはきちんと筋立てがあるんですけど、話自体を楽しむというよりかっこいい弾正さん、かわいいお姫様、綺麗なお姉さまを愛でる気持ちでいると楽しいかなと。

 

今の私ならそれで納得がいきます。

 

 ところが、またまた私事ながら、『毛抜』は歌舞伎にハマった頃に一度観に行っているのですが、寝てないはずなのに記憶がないのです。

 

ストレートプレイばかり観ていて、何度も言うけど話がしっかりしてることがまずもって大前提の当時の私が歌舞伎十八番なんて観たものですから、ほんの1年ちょっと前の話なのに断片的にしか覚えていないという。

自分でチケットを買って、お金を払って、自分の足で観に行ったにもかかわらずこのザマ。

 

それでも好きな役者は観たくてイヤホンガイドを使ったりあらすじを調べたり(時には話そっちのけで役者を凝視したり)…

徐々にわかる役者も増え、言葉も耳に馴染んできて、荒事や舞踊も人並みに楽しめるようになったのはここ半年くらいです。

 

 

とは言えやっぱり、 木ノ下歌舞伎 や 歌舞伎女子大学 なんかの劇団さんがされていた「現代劇アレンジ」を観て好きになった演目も多いので、今でも多少長くて複雑でも、お話ありきのものが好きなんだろうなぁ。

(丸本物(浄瑠璃元ネタ)が好きなのかもしれない)

 

 

 

演劇好きの大学生だった私がお芝居系の演目を好きになったように、音楽が好きな人ならきっと下座音楽鳴り物(あれ全部liveだからね)、お化粧が好きなら独特のメイク、服が好きなら衣装もカッコイイし、何かわからないけど派手なのが好きー!な人はそれこそ『毛抜』とか『暫』とかすっごい楽しいと思いますよ。

ダンスが好きな人は舞踊もあるし。舞踊だってポップでコミカルな松羽目物もあれば、流麗でなまめかしい清元だってある。

 

 

私は歌舞伎のこういう、全方向からのアプローチにも対応できる大きなところが好きだったりするのです。

 

 

物語をじっっくり楽しむのはもちろん好きだし、たくさん観ていくと同じ話を何回と観ることも出てくるから、そうなると役者さんによる雰囲気の違いが面白かったり。「この人のこれ私好きだなぁ」と思うともう一度観たくなったりして楽しい。

 

 あと知らないお芝居を観る時も知ってる役者がいるとちょっと安心しますよ。その人を見てればいいから。まずは推してからっていうの全然アリです。オススメ。

 

 

 

いろいろ言ってきたけど別になんのことはない、私は楽しいことが大好き可愛い女方が大好きなただのオタクで、特別伝統芸能に触れたいわけでも日本の文化を守りたいわけでもなく。


とはいえハマると「こんなに楽しいもの、未来に残してやらんでどうする!」と思わされるけど(笑)

 

 

結局、これだけのジャンルや演目があるわけだから、一概に「ここれがいい!」とは言えないと思うのね。

 

極端な話『毛抜』が肌に合わず寝てしまった人が、もしかしたら『熊谷陣屋』を面白いと思うかもしれない。
3年後に『毛抜』を観たらなんだか不思議と楽しめるかもしれない。

 

 こんなに選び放題の演目がある中で、大好きな演目や、お気に入りの役者さんが見つかればいいなぁと思います。

 

 

 

 

そして、私は歌舞伎のファンになってからというもの、「あぁもっと早くに出会っていれば!」と思うことが何万回もあります。ジャンルは違えど新参オタクが必ず通る道ですよね。

しかも伝統芸能なので言い出すとキリがないんですけど、それでも出会いにはすべてタイミングがあると思うんですよ。

 

今日だけの出会いが全てじゃない。

 

もし、今日鑑賞教室を観て、本編は寝ちゃったけど隼人さんがかっこいいな、と思ったなら、ファンになれとは絶対言いません。

でも「歌舞伎」と聞いて、時々思い出してくれたらいいなぁ、と思うのです。

 

いつかまたどこかで隼人丈を観た時に、もしかしたらその時があなたの本当の出会いかもしれない。

 

 

 

ちなみに私を歌舞伎の沼に引きずり込んでくれたのは隼人丈でした。かっこいいよね。キラキラしてるよね。

 

今好きな役者さんは、ブログを読んで好きになりました。どこに出会いがあるかなんてわからない。

 

 

これから何百年も続いていくであろう歌舞伎といつかどこかで再会したときには、共に沼で溺れましょう。こっちの世界は楽しいよ。

 

 

 

 

ちなみに #歌舞伎みたよ ってタイトルなんですが実はまだ国立劇場行けてません()

来週行く予定なので今から楽しみです\(^o^)/

 

二度目の『毛抜』はきちんと記憶に残してきます(笑)

 

 

ツチカワ

春はあけぼの 女方はうなじ

 

いつも大した話をしていませんがいつもより大したことない話をします。

 

 

推しに対する性癖を聞いてください

 

 

突然コイツ何言ってるんだ気でも違ったか、とお思いの方。安心してください。

気  が  違  っ  て  い  ま  す  。

 

これから私が好きな女方2名について好き勝手言っていくのでついてこれなくなった方は遠慮なくリタイアしてください。お互いの幸せのために。本当に大したこと言わないので。

 

 

 

好き放題書くだけの記事なので読んでいる人は皆さん顔を知っている前提で写真は載せません。

 

坂東新悟さん (大和屋)

1990年12月5日生まれ O型

180cmの長身(公式は178だけど私はもっとあるんじゃないかと思ってます)でありながらスラッとした美人系の女方さんであります。妄想力が高く、美声。

 

中村壱太郎さん (成駒家)

1990年8月3日生まれ O型

暴走機関車の異名を持つ情熱的なカワイイ系の女方さんだと思っている。濃ゆい。自分の可愛さわかってるあざとみが好き。ハイトーンボイス。

 

 

2人同い年やんけ。同い年で同じO型。

 

これは図らずも。

女方ではないですが同じく大好きな坂東巳之助さんもO型。中学時代から好きなコブクロも2人揃ってO型。なにか前世からの因縁でもあるのでしょうか。ちなみに私はB型です。

 

 

実は今月このちょっと変わった(褒めてる)推しの女方お2人が揃って明治座の五月花形歌舞伎にご出演されていました。

いやあとても愛之助さんの壱太郎愛を感じる公演だった()

 

 

まさにこの今月のこの公演で気づいたことなんですがさっそくいきますね、壱太郎さんのうなじがエr…色っぽい。

 これは昼の部月形半平太のお話なんですけどね。

初日に御本人Twitterに上がった画像からかなりくすぐられてはいたんですが、衣紋抜きすぎやろ。けしからん。

とくに千穐楽は下手側から見下ろしていたのでうなじ堪能席。彼女(彼女) の首周りから背中にかけて何か出ているんだろうか。うーんエロい。

 

月形半平太繋がりでいきますけど、一瞬めちゃくちゃ好きな場面があって。染八(新悟ちゃん)が月形のところに忍び込んで刺そうとする(けど実は心変わりをしていて惚れてしまったから刺せないぃ〜という乙女心)時に被っている手ぬぐいの端を口でくわえてるところ。

ヤバみ(^q^)

時間にして数分も無いし、なんなら一瞬だから千穐楽の席からは見えなかったんですが、これがどエロい。ありがたいことに舞台写真になっていたんですが、口元を長時間凝視していたら変な気分になってきます。ハァ染八姐さん……

 

 

この場面これから梅松(壱くん)歌菊(米子)も入ってきて梅松vs染八のちょっとしたバトルになるんですけど(私は興奮のあまり毎回ここで話が飛びます)何がいいって体格差がいいですよね。

 

体格差については、立役×立役立役×女方女方×立役女方×女方、どのパターンでも大好きです。

南総里見八犬伝だと米吉信乃と新悟浜路の身長差がデンジャラスでした。あんな随分大きいのにどう見ても「信乃様大好き」なピュアな女の子に見えてしまう。いいですか、歌舞伎というのは大半が脳の麻痺ですよ。でもこの力づくで騙されている感覚もまた癖になるわけなんですけど。

 

 

 

あと私は手先・足先が好きだったりします。

もっと言うと手首から先・足首から先(無論、二の腕や太ももが好きではないとは言っていない)。

壱太郎さんの手はとっても罪深いですよね。

寄り添い方が優しすぎるし立役の人が手を握る場面なんかだとすごく華奢(に見えているだけかもしれないが)。さっきも言ったように歌舞伎は目の錯覚と脳の麻痺でできている…

 

そういう意味でいうと新悟ちゃんは当然手が大きいわけなんですが、手が小さければいいという訳でもないのでこの大きさが良い!というフェチなのでござる。何でもありかよ、と思ったでしょ。

新悟ちゃんの指はめちゃめちゃ綺麗なんですよ。細くて。長くて。でもって小指と薬指の曲げ方、カーブが滑らかで、その所作だけで騙されるんです。快感だ〜。

ちなみに関節が硬くて指が短い私も真似してみましたが秒で攣って終わりました。危険。

 

足首から下の話もしておきますと、何を隠そう私は足袋フェチです。足袋がいい。

これは先月『帯屋』のお半を観ていて気づいたんですが、壱太郎さんの足(足袋Ver.)めっちゃ女の子なの………… 長右衛門が抱きしめる場面、足をキュッとする動作めっちゃかわいかったの………

かと言って、男の子みを感じるのもまたたまらないんですよね。こいつマジで何でもありかよ、と思ったでしょ。割と何でもありな節はある。

 

チラッと見える、薄く白粉塗った素足の足の甲なんかはそこだけ男の子って感じがして脳内が混乱するのが最高にいいです。

ちなみにこれは演劇界という雑誌の2016年9月号、梅川の拵えの壱太郎さんの写真を見て思いました。もし良かったら確認してみてね。

 

 

足首から下、と申しましたがつまり足首も私は好きです。なんなら足首のほうがずっと好き好き言ってたくらい。わけわからん。

特に町娘の格好なんかだとわかりやすいんですけど、裾から覗く肌チラリズムですよ。

私は裾と足袋の間の空間を絶対領域と呼んでいます。リピートアフターミー、“裾から覗く肌”。

そしてこの絶対領域で一番好きなのが新悟ちゃんです。去年の納涼歌舞伎『弥次喜多』で開眼しました。6月上旬よりシネマ歌舞伎が公開するので是非。是非!ご確認していただきたいと思います。

 

 

2000字超えてきました。

心折れてきた?もう読んでないかな?最後に声の話だけさせてください。

 

声というか、口跡?口跡というか滑舌というか、まぁただの発音萌えの話なんですけど。

ちなみに私は御二方とも特徴のあるよく通る声だと思います。千穐楽みたいな見えづらい席なんかでも声を聞いてすぐ誰かわかるし、何を言っているかもわかるからありがたい。

 

新悟ちゃんは本当に鼻音が綺麗。もちろんガ行の鼻濁音も美しいのはもちろん、マ行やナ行も滑らか。コクーン三人吉三十三郎を観ていただくと「娘御」って台詞が出てくるんですが、危うく求婚するくらいには美しい発音なので是非聴いてみてください。そして三人吉三めっちゃ面白いので最後まで観てみてください。

 

壱太郎さんはサ行が好きです。

台詞にサ行が多いとテンションが上がる。とくに「しゃしゅしょ」「じゃじゅじょ」が好き。ちょっと甘いですよね。

あとずっと気にはなってたんですが、「へぇ(返事)」がすっごくかわいい。ちょっと小さめの声なのがかわいい。声が高いから小さい声でも(小さい声だと)かわいいよ〜〜。

私は2月松竹座公演のご挨拶で「橋之助さん」を「橋之助しゃん」って噛んだことをずっと忘れないしずっと言うと思うけどまさにこれ。まさにこの可愛さ。アアアアア。

 

 

 

3000字弱までいきましたね。すげぇ。

書きたいこと好き勝手書いてただけなのでプレゼンする気ゼロ。最後まで読んだ人いる?

一度も画像資料を使わずに書いてきました。ただのメモ。

 

改めて書き出すと「あぁ自分こういうところが好きなんだなぁ」とわかったりしてめちゃくちゃ気持ち悪い

 

 

まとめとしては

女方さんは目の錯覚と脳の麻痺

チラリズムis至高エロティック

・こういう目で歌舞伎を観てもいいんじゃない?(提案)

 

 

お粗末さまでした

 

 

ツチカワ

菅原伝授手習鑑をコンプリートしました

と言っても「ドラマの最終回だけリアタイしてそれ以前の話も気になったから動画サイトで観てみたけど7話だけ見つからなくてその部分だけ原作漫画を読んだ」みたいな感じなんですけど。

 

 

どういうことかと言いますと、

四段目の 寺子屋 は昨年どういうわけか3回も観たんです。挙句現代劇バージョンも観たしね。なんならその現代劇で菅原伝授手習鑑を好きになったんだけど。

当然それ以前の話も気になりだしまして、動画サイトを漁ったら加茂堤筆法伝授車引は観られたんですが、賀の祝だけ見つからず。

今回ようやく元ネタの文楽を観るに至ったわけです。

 

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歌舞伎は学校で観たりもしましたが、文楽を観るのは恐らく今回が初めて…!

文楽人形って思ったより結構大きいんですね。

そして登場人物の台詞は全員太夫さんの語り!

子どもから大人、女房、娘…笑い声から泣き声まで。

 

席が遠かったことや技芸員さんたちを皆さん知らなかったというのもあり、“人形を動かしている”という状態を忘れることがしばしば。

まるでアニメを観ているのに近い感覚。

(だとしたらナレーションから声優まで同じ人が演じ分けるってすごくない!?)

 

 

 

そして人形のかしらはいくつか種類があり、今回だと茶筅酒の段での松王丸女房千代と梅王丸女房女方(ふけおやま)と呼ばれるかしらが使われていたそうですが、着物の色から顔からほとんど同じで私の席からはどっちがどっちやねん状態……

と、思いきやよーく見ると着物の裾に千代は、春はの柄がきちんと描かれているんですね!安心!と同時に夫とペアみたいでかわいいね!

 

菅原伝授手習鑑なんて人は争うし生き分かれるし死に別れるし、待っているのは悲しい展開ばかりなのでかわいいところがないとやってられないよね。

 

そんなわけでようやく観ることができた茶筅酒の段は割と和みパート!

 

愛されキャラっぽい八重ちゃんと白太夫のやり取りが微笑ましくて可愛い。

そしてあれよあれよと集まる息子の嫁たち。

これ歌舞伎だったらあれですよね、女方さんたち大集合ですよね。最高だね。

 

一番好きだったのはみんなでお料理ですね。

八重ちゃんお料理苦手なのかな?

お味噌うまくすれなくてすり鉢たおしちゃう八重ちゃんドジっ子。

お姉さんな千代さんと場所変わって包丁持ったとたん感じるフラグ。

もうアニメかよっていうレベルのやらかしっぷりが可愛い。

 

あまりにも可愛くて入り込みすぎて千代お姉さんと八重ちゃんの姉妹みに萌え萌えしたところで「ア、これ人形か」と気づくという。

 改めて萌えに垣根がないことを学びました。

 

 

 

 

喧嘩の段で出られた咲寿大夫さんがとっても美声。

張りがあって声量があって梅王と松王の喧嘩が激しくてよかったなあ。そして何より女性陣のお声が美しくて〜〜〜〜!推した。すーぐ軽率に推す。

 

この喧嘩の場面は「歌舞伎だとコミカルな場面」だと聞いていたけれど、梅王が松王を蹴飛ばしたり投げたり、米俵をぶつけたりする度に笑いが起きた。

人形だから、表情は変わらないのに奥にいるお嫁さんたちが気が気でないのがよくわかります。ハラハラ。

 

そして折れる、桜の枝。

枝が折れるというか木が倒れるというか…

文楽のサイズ感だからなのか歌舞伎でもあんな感じなのかはまだ分かりませんが、確実にここで納戸にいるであろう桜丸、クジに願掛けをしている白太夫が見えた気がしました。

 

自分の子どもの生死をクジなんかに頼むなよー…

 

と、現代に生きる私は思ってしまうわけでしてね。それがこの演目の、というか古典芸能の面白いところなんだと思うんですけど。

 

 

訴訟の段の半ばあたりからもう涙腺が緩み始めている私。

 

松王を勘当し追い出した白太夫の想いも、願い出をはねのけられた梅王夫婦の想いも、夫と共に出ていく千代の表情も。

ギューッとなりましたね。

 

夫の気持ちが見えずその身を案じる八重の前に現れる桜丸。

この場面をずっと観てみたかった。

 

「下郎ながら恥を知り…」の台詞を濃く覚えている。

さっきまで大根を切って指まで切ってしまうようなお茶目でドジな八重ちゃんがずっと泣いている。

 

現代劇で観た時のような劇的さではなく、鐘の音と白太夫の声だけが聞こえる舞台上、涙に暮れる八重。

泣くない。あい。

の掛け合いの時点ではもはや同じ人が声をやっていることなんて忘れて大号泣でした。

 

この場面、桜丸の切腹の場面だけれど八重が悲しみの中心にいる感じがするなぁ。

茶筅酒の段でほのぼの笑っていた八重と白太夫の悲劇。別れ。

 

隠れていた梅王夫婦を見ると、歌舞伎女子大学のお芝居を思い出します。

 

 

 

何度も観た寺子屋

寺入りの段は一度だけ歌舞伎でも観たことがありますが、その時は寺入りからダダ泣きだったことを覚えています。

 

今回も今回とて、千代と小太郎が別れる場面で涙…

ここが、千代がわが子の顔を見る最期の時だったんだなぁ。

 

とはいえ悲劇続きのお芝居の中でつかの間の笑いが涎くり!歌舞伎では私はなぜか明石屋のご兄弟の涎くりばかり観ています(笑)

 

菅秀才に口答えをしてこませこませー!と周りの子ども達から叩かれる場面がとっても可愛くて笑える。

なんだかやたら強めに叩く子どもがいたなぁ、下手側。(笑)

 

迎えに来た父親をおぶって帰るのも歌舞伎と同じ。子どもたちが帰ってからはご存知の通り、悲劇ラッシュです。

歌舞伎にしても現代劇にしても文楽までもやはり小太郎の首を落とすところはむごいですねぇ。

戸を隔てているから見えないんですけどね。

 

 

持つべきものは子どもだ倅はお役に立ったぞと。桜丸はきっと羨ましかろう。という松王に、小太郎はもうすぐ伯父御に会いますよ。と千代が答えるところ。

そうか、小太郎にとって桜丸や梅王丸は伯父だったんだ。

きっともう八重も向こうにいるはずだから、小太郎から色んなことを聞いて、時平を倒すのかな。なんて考えてしまいました。

 

国立劇場の小劇場、初めて入ったのですが字幕も出るんですね。

買ったパンフレットに床本集はついていたけど、舞台のすぐ横に字幕が出ると細かな言葉や心情がリアルタイムでわかるのが良い。そして改めて切なくて美しい言葉が紡がれていることを知れる。

 

 

八重ちゃんは小太郎くんのことを可愛がっていそうだな。

 

 

 

 

私の中では、寺子屋のなかでいろは送りが一番楽しみな場面で、今回はその字幕もあったおかげでより好きな場面になりました。

アニメやドラマのエンディングテーマみたいな感覚なんだけど、絵と連動して歌詞が見えると感情がより煽られますよね。

 

 

 

念願の菅原伝授手習鑑をコンプリートしました。

コンプリートと言っていいのでしょうか?(笑)

やっぱり歌舞伎で観てみたいと思う気がしないでもないけど…

 

ただ、菅原伝授手習鑑見たさに手を出した人形浄瑠璃というジャンル。話を知っていたことも大きかったとは思いますが思っている以上にハードルは低いですよ。

生身の役者ではない人形が演技をしている(ようであり操るのは生身の人間、声も生の人の声)。不思議な感覚と感動があります。楽しいよ!

 

 

 

そんな感じで軽く来てしまった文楽公演ですが、どうやら豊竹英太夫改め六代目豊竹呂大夫襲名公演だったようです。

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大向こうとは違いますがお名前や「六代目!」などの掛け声がたくさんかかってテンション上がりました。

 

襲名口上も歌舞伎公演の時みたいにゆかりのある太夫さんや三味線方さんがチャーミングなエピソードなんかを語ったりして。

和やかでおめでたい、全然知らなかった人なのに不思議とジーンとしましたね。おめでとうございます。

 

 

きっと襲名ということもあったのでしょう。

チケット取るのに少し苦労したけどまた観てみたいなー。文楽公演自体がそんなに多くないらしいのでまた頑張ってチケット取ろうと思います(笑)

 

 

あとは、歌舞伎の賀の祝も観ることですね!

それに推しが出ていればモアベターなのでよろしくお願いします。

 

 

 

ツチカワ

夢幻恋双紙〜赤目の転生

暗くて湿ったループの一片を観た。

 

初めて赤坂大歌舞伎を観てきました。

今年の演目は『夢幻恋双紙〜赤目の転生』

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蓬莱竜太さん作・演出の新作歌舞伎です。

 

よくわからないことを言いますが、ポスターに書かれている「愛する女のために転生する男」と「愛を貫き運命に翻弄される女」というコピーが予想と360°違っていたという印象。

 

元々はラーメンズのコントから演劇の沼に入り、現代劇を観続け、アングラや小劇場に興味を持ち、ひょんなことから歌舞伎の深みにハマるという観劇遍歴を持つ成人女の感想です。

 

 

 

すごく現代劇だなあ、と感じました。

出ている人物はもちろん皆着物を着て、舞台は長屋なのだけれど、人々の台詞の端々から感じる価値観が現代の我々に極めて近いと感じたのです。

 

一太郎と二太郎の場面では「愛とお金どっちが大事?」という現実感を突きつけられたし、二太郎と三太郎では「友情とは?」という少し野暮ったくて朴訥な疑問を投げかけられた。

 

また、出てくる登場人物全員に少しずつ自分を投影できてしまう居心地の悪さみたいなものを感じました。

誰の台詞にも共感できるところがあったり、かと思えば誰かの台詞が自分の胸に刺さる。

 

 

自分は観客として観ているだけなのに、気持ちの端っこがお芝居に巻き込まれるような錯覚に陥りました。

 

 

 

 

しかしながらそれでいて、歌舞伎でよく見かける「因果」という流れが見えるようになっている。

前世の因果も来世の報いも、全てが明け透けになっていて、全てを知っているのは俯瞰している観客のみなのが辛いところ。当事者は何となくその赤目に残る記憶だけを頼りに、因果から逃げるように転生しているのを私(たち)だけが知っているのがとても苦しかった。

 

 

 

三太郎の場面が終わり、またいつものように源乃助が太郎を転生させにやってくる。

そこで太郎はループを断ち切ろうと源乃助を殺し、このループの全貌がわかります。

 

 

源乃助と歌の「兄妹の恋が生む因果」もなんだか歌舞伎っぽいな〜と思ったり。

出てくる4人の太郎に歌の父親が必死に声をかけるところも、三太郎に言う歌の「ずっと好きな人がいる」も、結ばれてはいけない兄妹のお互いへの想い。という悲しさ。

 

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終演直後に殴り書きしたメモそのままでたいへん恐縮です。

 

源乃助を殺したあとのループは、物語冒頭の「ドラえもん」のくだりになっているので、初めに戻ったのかな?

と思いつつ、源乃助の中の人(役者)が太郎(の中の人)になっていることを、役者=魂のように考えると中身が変わったりしている…?

などとも考えてしまいます。

 

もしかしたら、そのまま初めに戻ったのではなくて、最初に通った展開とは少しずれながら渦を描くように転生は繰り返されるのかもしれないけれど、歌にも太郎にも源乃助にもきっと幸せが来ないことはわかっているのが物語の救いのないところ。

 

そして救いのない物語は意外に大好物であります。

 

古典歌舞伎でも吉野川だとか寺子屋だとか、救いのない物語は色々あるけれど、そんな大時代の抗えない波の話ではなくて、一つの町単位、なんなら一軒の長屋の中だけの世界の、救われないループのお話。

先に載せたループの形よりももう少し大きいかもしれない。そのたった一部を私達は目撃しただけかもしれない。

 

 

 

これだけ「現代劇みたいだ現代劇みたいだ」と言っておきながら、タイトル通り夢みたいだとも思ったんです。

(というかテーマが「転生」っていう時点でだいぶファンタジックですけどね)

 

観る前からなんとなく話題になっていた切り絵のセット、既視感があるなあと思ったら

 

モチモチの木 (創作絵本6)

モチモチの木 (創作絵本6)

 

読んだことはないのですが小学生の頃校長室の前に置いてあって、なんとなくこの独特の雰囲気が怖かった思い出があります。読んでみよう。

 

これだけリアルなお芝居を観せられているのに、背景がすごく抽象的で。太郎が転生するたびに「夢を見た」と話す言葉も相まって、ずっと終わらない夢を見せられているよう。

遠い星の、日本の江戸時代に限りなく近いところの人々の話を見ているような不思議な感覚でした。

 

 

 

冒頭からずっと「鶴松くんのキャラ、ウザ可愛いww」と思っていたのですが、ウザ可愛いがどんどん広がっていき、深くなり、という人物の生々しい人間らしさに変わっていくのを見てゾクゾクしました。

 

一太郎、二太郎、三太郎、どの場面の静もそれぞれ違った女の子でしたが、やっぱり一番人間味がある。

自分の持つ嫌な感情が共鳴してしまうという点で、ドロドロして一番気持ちが悪かった部分ではありますが二太郎と静の繋がりが心に刺さったように感じます。

 

可愛い鶴松くんしか知らなかったのでドキドキした………

 

 

今回は二階席から一応双眼鏡も携行してはいたものの、途中から使わずに観ていましたが、いてうさんと猿弥さんが鶴松くんと同じ年頃の子どもに見えたことに感動……改めてすごさを感じました……

 

 

 

二太郎の場面では、経済面での心配はゼロで父親もすっかり持ち直し、何不自由なく暮らしている中で、太郎だけが。三太郎の場面では、歌と剛太が結婚し、静も子どもを身ごもり、幸せムードの中でやはり太郎だけがまるで違う世界にいるようでとても辛かった。

 

これまた「好きな人といることが必ずしも幸せなのか」と普遍的な疑問を投げかけられたような気がします。

 

 

 

 

 

私は今回おそらく初めて蓬莱さんのお芝居を観たのですが、これは一からの新作歌舞伎ということで。コクーンのように既存の歌舞伎の演出も機会があれば観てみたいなあ、なんて思ったりしました。

その時もやはり、世話物がいいです。(笑)

 

 

こういった新作歌舞伎が上演されるたび、歌舞伎以外の役者が歌舞伎の演目をアレンジして演じるとき、しばしば言われる「歌舞伎とは何か」という問いについては、私は専門に勉強をしたわけでもないし、いわんやその分野で学士を取ったわけでもないので、明確なことはわかりません。

 

が、感覚や価値観がすごく現代的だと感じました。言い換えれば、物語の中を生きる彼らは、現代を生きている私となんだか考え方が似ているなあと思ったわけです。

 

有り得ないことですが、江戸の人々がこのお芝居を観た時にどう思うんだろう?何を感じるんだろう?今現代の我々が古典歌舞伎を観た時に「共感はできないけど理解はできるし感動した」と言うように江戸時代の人たちも感動したりるのだろうか?

と感じずにはいられませんでした。

 

 

 

 

 

元々パスしようと思っていた赤坂大歌舞伎ですが、評判があまりに良く、私好みの演目だと聞いて急遽観劇しましたが、観てよかったです。

すごく面白くて、居心地悪くて、内臓が苦しくて、見応えのあるお芝居でした。大好き。

 

 

 

このお芝居を通して誰でも持っている闇だとか、普遍的なテーマだとか疑問だとか、たくさん心に投げかけられた気がしましたが、一つとして答えは出ていません。。

 

 

ツチカワ

ユースフル義経千本桜

義経千本桜』というお芝居があります。

私の大好きな演目ですがめちゃめちゃ長いお芝居です。

 

 

 

話の始まりは、屋島の戦いで平家が滅亡した後のこと。

義経」千本桜とは言いながら、義経はそれほど出てきません。むしろ義経が出てこない段も結構あります。

 

討ち取られた平知盛平維盛平教経の首は偽物だった。

史実では亡くなったとされているが実は生きていた知盛、維盛、教経をメインに描いたお話です。

 

 

今日は平知盛のお話をしたいと思います。

 

知盛は、二段目の「渡海屋・大物浦の段」の主人公です。

 

落ちのびた知盛は渡海屋の主人銀平として、女房のお柳に身をやつした典侍の局とともに、同じく娘お安に身をやつした安徳帝を守っています。そこへなんと、義経一行が船に乗るためにやってきます。これまでの源氏への恨み、平家の再興をかけて義経一行への奇襲を敢行します。知盛の運命は…!?

 

ってな感じのあらすじなんですが、私はこの演目が大好きです。大好きとは言っても、生で観たことがあるのは染五郎丈の知盛に、猿之助丈の典侍の局という座組のものを2回だけ。

 

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映像では吉右衛門丈の知盛に雀右衛門丈の典侍の局の座組を1度観たくらいであります。

 

 

歌舞伎公演ではありませんが、木ノ下歌舞伎という劇団の「渡海屋・大物浦」を観たこともありました。一部現代アレンジを加えながら、ここに至るまでの平家の栄枯盛衰をわかりやすく上演してくれているものです。

 

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 なかなか大時代の話だし、言葉も多少わかりにくいですが、内容がわかるとすごくドラマチックな演目だと思うんです。

 

今月は、その「渡海屋・大物浦」を2度目の座組で観てきました。

 

 

 昨年6月には源義経を勤められた尾上松也丈が、今月は主人公の平知盛を勤められています。

 

初めの渡海屋での一番好きな場面。

寝ているお安を跨ごうとする武蔵坊弁慶中村歌昇丈。

するとにわかに足が攣ってしまうのです。弁慶はここで何かを感じ取りますが、女房たちに不思議そうな顔をされると「いやあ小さくても女の子だな!」と誤魔化すようにして部屋を出るのですが、完全にフラグですよね。ビンビンです。

全てを察していた義経の指図で弁慶はこんなことをしたのですが、もうここから何か起こるっぽい感じビンビンなのが露骨に好きです。

 

 

銀平女房のお柳が義経一行に「うちの人(銀平)は天気を見る名人なのよ!この間もこんなことがあって云々…」とベラベラ喋り倒す場面があるのですが、ここの場面もとってもキュートで大好きなのです…!

お柳(実は典侍の局)中村壱太郎丈が勤められていますが、先月の傾城反魂香での女房おとくがかなりハマっていたので楽しみにしていました。

やはりお茶目な世話女房っぷりが素敵だったし、超ドライ対応な義経との温度差も最高でした(笑)

 

この源義経ですが、普段は女方を多くされている坂東新悟丈が勤められています。

義経千本桜』でも「川連法眼館の場(四の切)」や、『勧進帳』なんかの義経は、私の中では「儚くて美しい」イメージがあるので、女方さんがされるのもわかるけれど…

新悟丈も立役をされることはありますが、私のイメージでは「ナヨナヨした和事みのある二枚目」だったので、「渡海屋の義経じゃもう少し男らしくないといけないんじゃ…!?」と少しドキドキしたのですが、全くの杞憂。とってもかっこよくて男らしい大将でした。

 もちろん、強くて男らしいだけではない影の部分も必要だと思いますが、そのへんの儚さはデフォルトで備わっているので心配は無用です。

 

 

続いて、渡海屋奥座敷

出で立ちも改めた典侍の局安徳帝。その他官女たちが心配そうに知盛たちの戦況を案じているところです。

 

そこへ、ご注進の相模五郎がやってきます。義太夫に合わせてテンポよく踊りますが、内容は吉報ではありません。平家の劣勢を伝えに来ているのです。後に続く入江丹蔵も斬り合いの末に敵もろとも刀に刺さって入水します。

 

相模五郎と入江丹蔵は、中村種之助丈と尾上右近丈が勤められています。

渡海屋の場面でやいやい言っては銀平にこらしめられ、投げ出され…魚づくしの可笑しくて可愛いコンビは、実は奥にいる義経たちを油断させるための自作自演だったのです。

滑稽で愛らしい2人の壮絶な最期ですが、かっこよくて好きな場面でもあります。下手側の席だったから、よく見えてよかった!

 

このご注進を見るたびに少しずつ局の顔に諦めの色がさしてくるのが心が痛い…

 

 

もう後はない、源氏に滅ぼされるなら自ら海の底の都へ行こう、とこの世へ暇乞いをする幼い帝が泣けます。

帝が、神のいる方角と仏のいる方角に向かい

「今ぞ知る みもすそ川の流れには 波の底にも 都ありとは」

と立派に詠むと、こんな立派な歌を宮中で詠んだならどれだけみんな喜んだろう!と一同が嘆く様子がさらに悲劇的です。

 

いざ飛び込まん、ってときに典侍の局の言う八大竜王、恒河の鱗屑、君の行幸なるぞ、守護し奉れ」に号泣。今まで気にしたこともなかったのに。

それまで帝を優しく見つめていた局が、あろうことか神に向かって強気の言葉。

典侍の局は帝の実母ではないし、知盛の妻でもない。八十一代天皇 安徳帝の乳母であることの誇りと気高さを感じたのでした。

 

結局、局と帝は源氏方に止められ入水はせず。

 

クライマックスの大物浦です。

痛手を負って息も絶え絶えの知盛ですが、義経を目の前にして絶対殺してやると何度も立ち上がります。義経が「安徳帝はしっかりお守りするから安心しろ」と言っても、そんなのは当たり前だ!恩に着せられるいわれはない!とさらに腹を立て、弁慶が首にかけた数珠も引きちぎります。

 

が、帝の「朕を供奉し永々の介抱はそちが情け。今日また我を助けしは義経が情けなれば、仇に思うな、これ知盛」の一言で知盛の義経への、源氏への恨みの連鎖が断ち切れるのです。典侍の局もまた、その言葉を受け入れ、自害します。ここの壱太郎丈の散り際が本当に美しいんだ。それまでも何度も出てきた義太夫「うちまもり」って詞がぴったり。優しい目で帝を見つめてから息絶えます。

 

安徳帝、ほんとに物語に大事なことばかり言うんです……

 

あんなに源氏への報復しか考えられなかった知盛が「昨日の敵は今日の味方」と、自分の命より大事に守ってきた玉体を義経に預けることができたっていうことこそが、知盛が平家の呪いみたいなものから解放されたってことなんじゃないかなあ。と思うとこれは知盛の悲劇でありながら、知盛があるべきところに還れたのかもしれない。少しだけ救いがある気もする。

 

崖をのぼりながら義経と交わす「さらば」には心なしか友情すら感じられました。

父清盛の報いを受ける知盛。実の兄頼朝に追われる義経

きっと一本気で真面目で熱くて実直だったんじゃないかな、知盛。出会う時代が違ったら、違う出会い方をしていたら、もしかしたら義経と知盛は強い仲間になっていたかもしれない、と「さらば」の一言から感じたのです。

 

 

さてこの花形歌舞伎の筋書、歌舞伎初心者が来ることも想定してか人物相関図なるものがついていますね。私は登場人物が多いとすぐキャパオーバーになるのでありがたい限り。

 

ここで、言われて気づいたのですが、知盛と安徳帝叔父と姪の関係になるのでしょうか。血縁がある…?

ずっと「ただの主従関係」だと思っていたので、随分今回の知盛は未練があるなあと思ってたんですが、そうだとしたらなんだか少しわかる気もしますね。

 

 

私の大好きな義経千本桜  渡海屋・大物浦』のお話をしましたが、これに限らず、若手の公演のしんどいところって、役の年齢と実年齢が近いところにあると思うんですよね。

 

以前は中堅の花形世代のを観ました。今月観た座組より一周りは上の世代です。来月は人間国宝レベルの座組を観る予定です。

 

もちろん経験値も違えば安定感も変わってきますが、同じような年齢の役を同じ年頃の役者が演じることのリアリティーってなんとも言えなくて好きです。

 

平知盛は34歳で亡くなったと伝えられています。知盛を勤められたのは32歳の尾上松也丈。

源義経も30歳に亡くなっているので、きっと20代の頃でしょう。坂東新悟丈は26歳です。

 

典侍の局が8歳、9歳の安徳帝の乳母をしているということは、自身にも同じ年頃の子どもがいたのでは…?想像ですが、今より適齢期が早いことを考えると、同じく26歳の中村壱太郎丈と同年代と考えてもいいのではないでしょうか。

 

今より寿命が短いとはいえ、まだ先のある若い命がぶつかり合う大物浦がまるで身近にあるような気持ちになるお芝居でした。

 

 

大好きな義経千本桜』の一部について、先日観劇した大阪松竹座のお話をしましたが、長い長い狂言です。

 

「頼朝を討て」との院宣が隠された鼓をめぐるお話や、他に落ちのびた平維盛や平教経のお話もあります。

 

それこそ役者さんやそれぞれのお家によって、演出に特色があったりする場もあってとっても面白いですし、何よりストーリーがとってもドラマチックなので機会があればぜひご覧ください。

 

 

 

ツチカワ

新春浅草歌舞伎

明けましておめでとうございます。

 

今年も観て参りました。

 

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新春浅草歌舞伎!

 

今年は眼力強めのゴリゴリポスターにて。

 

 

昨年の爽やか好青年風ジャンピングポスターの新春浅草歌舞伎が私の初古典歌舞伎でしたので、歌舞伎を観始めて約一年が経ちました!

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 (大学生の時に観た歌舞伎鑑賞教室の『芦屋道満大内鑑-葛の葉-』は自主的な観劇ではないのでカウントしません)

 

 

メンバーは変わり、当然演目も違います。殊に若手役者さん方は成長スピードが早いと聞きますので、一年前の舞台とはガラッと変わったお芝居だったことでしょう。

 

「ことでしょう」というのも、昨年の新春浅草歌舞伎、私ワンピース歌舞伎で中村隼人丈に一目惚れをして中村隼人丈を見に行っていたようなものなので、通して観ているはずの新春浅草歌舞伎なのにほとんど記憶がありません。

 

 

 

愚の骨頂

 

 

 

 

さて、愚の骨頂にあぐらをかいて君臨していた当時の私でございますが、この一年での成長をちょっと聞いてください。

 

 

 

推しが増えた

昨年、新春浅草歌舞伎マイ初日時点で私の目に映っているのはもちろん中村隼人丈。

しかしながらマイ千穐楽時には何やらツイートにチラホラ坂東巳之助の文字が。

義経千本桜』の「四の切」の亀井六郎の記憶すらないのに何が坂東巳之助だ、という感じもする。

 

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義経千本桜』川連法眼館の場(四の切)より亀井六郎イメージ画像です

 

その後も四月の明治座花形歌舞伎歌舞伎夜話、トドメの歌舞伎女子大学坂東新悟丈に落ち、六月の通し狂言義経千本桜』では澤瀉屋に落ち、八月納涼歌舞伎では中村屋に落ち、通し狂言仮名手本忠臣蔵では「やっぱり隼人さん素敵」となり…他にもいろいろ…

 

若手はもちろんのこと、花形若手の親世代幹部人間国宝…かと思えば初お目見えしたばかりの天使初舞台をしっかり勤め上げるあどけない男の子たちなんかも!

 

 この一年でたくさんの役者さんと出会えたと思います。

 

 

 

わかる演目が増えた

そんなこんなで最初こそ「好きな役者が出ている興行だけ…」なーんて言っていたわけですが、「好きな役者」が増えれば必然的に観る舞台も増えるもので、四月の明治座花形歌舞伎を皮切りに現在に至るまでノンストップで毎月歌舞伎を観ています。

 

ひと月に一度だけ通しで、ということもあれば同じ演目を何度もおかわりしたこともありました。

国立劇場歌舞伎座、なんてこともありましたし、ひどい時は巡業と地方公演が被ったりもしました。血も涙もない。

 

 

木ノ下歌舞伎や、歌舞伎女子大学など、歌舞伎の演目を題材に取った現代劇もいくつか観ました。

とりわけ、義経千本桜』渡海屋・大物浦『菅原伝授手習鑑』は劇的に気に入って、関連書籍を読んだり絵本まで買ったりしました。

 

菅原伝授手習鑑 (橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(3))

菅原伝授手習鑑 (橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(3))

 

 

 

だんだん、イヤホンガイドなしでもわかる演目が増えていくのが嬉しかったし、演目発表されたときには「わ〜これかかるんだ、楽しみ!」と脳内でイメージを結びつけることもできました。

 

好きな役者が「このお役をやりたい」と言ったときにそのイメージを共有することも、「〇〇さんの△△役見てみたいなぁ」なんて妄想することも少しずつできるようになってきて、ずっとずっと歌舞伎を観るのが楽しくなっています。

 

 

そんなわけで新春浅草歌舞伎2017

中村隼人丈を見るためだけに行っていたと言っても過言ではない昨年の新春浅草歌舞伎。

あれから一年、いくら私がパワーアップしたからとて役者さん方の努力や成長をとやかく評価できるほどの立場になった訳ではありません

 

些か勝手ではありますが、役者さんというよりも私の成長を踏まえて今年の新春浅草歌舞伎の感想をお話したいと思います!

 

 

 

やっぱり印象に残ったのは『傾城反魂香』

時の帝の勘気を受け、絵師・土佐将監は妻の北の方と山科の国に隠れ住んでいる。その里に虎が出没する騒ぎが起こり、弟子の修理之助は我が国に虎は住まぬのにといぶかる。そこへ裏の藪から巨大な虎が出現。驚き恐れる村人を尻目に、将監はこの虎こそ名人狩野四郎次郎元信筆の虎に魂が入ったものと見破る。修理之助はわが筆力でかき消さんと筆をふるい、見事に描き消す。弟子の実力を認めた将監は、修理之助に土佐光澄の名と免許皆伝の書とを与える。

これを聞いた兄弟子の浮世又平は妻のお徳ともども、師に免許皆伝を頼み込む。又平は人がよく絵の腕は抜群なのだが、生まれついての吃音の障害を持ち、欲がない。折角の腕を持ちながら大津絵を書いて生計を送る有様である。そんな弟子にいら立ちを覚えた師は覇気がないとみなして許可しない。妻のお徳が口の不自由な夫に代わって縷々申し立てても駄目であった。

折しも元信の弟子の雅楽之助が、師の急難を告げる。又平は、これこそ功をあげる機会と助太刀を願うが、これもあえなく断られ、修理之助が向かうことになる。

何をやっても認められない。これも自身の障害のためだと絶望した又平は死を決意する。夫婦涙にくれながら、せめてもこの世の名残に絵姿を描き残さんと、手水鉢を墓碑になぞらえ自画像を描く。「名は石魂にとどまれ」と最後の力を込めて描いた絵姿は、あまりの力の入れように、描き終わっても筆が手から離れないほどであった。水杯を汲もうとお徳が手水鉢に眼をやると、何と自画像が裏側にまで突き抜けているのであった。「かか。ぬ、抜けた!」と驚く又平。お前の執念が奇跡を起こしたのだと感心した将監は、又平の筆力を認め土佐光起の名を与え免許皆伝とし、元信の救出を命じた。

又平は、北の方より与えられた紋付と羽織袴脇差と礼服を身につけ、お徳の叩く鼓に乗って心から楽しげに祝いの舞を舞う。そして舞の文句を口上に言えば、きちんと話せることがわかる。将監から晴れて免許状の巻物と筆を授けられた又平夫婦は喜び勇んで助太刀に向かうのであった。

Wikipediaより引用

 

初見だったのであらすじを読んで、夫婦愛と少しのファンタジーな感じ、以前観たことのある『壷坂霊験記』みたいな感じなのかな…?と思っていました。

結果として、奇跡は起こるけれど、決して奇跡自体の話ではなく「又平が命をかけた作品を作り出した」ことを表現するための奇跡だったのかなあ、と観てみて感じました。

 

途中辛辣な場面はたくさんあるけれど、何が辛いって「誰も又平をイジメようとして突き放している訳ではない」ということ。

 

だからこそ、又平の渾身の作品を見た周りの人間の顔が清々しく晴れやかで、こちらも嬉し涙を流すことができたんだと思います。

本当に、とりわけ北の方の辛そうな顔と、着物を持ってくる優しい顔が頭から離れない…

 

壱太郎丈のおとくがまた、又平のことを大好きなんだろうなぁ…と見てとれるような女房っぷりで、これだけ惚れさせるものが又平にはあるんだろうと思いましたが、絵がすり抜ける奇跡を見ればもうわかりますよね。

将監もおとくも惚れたであろう又平の絵の才能がこれからもどんどん開いていってほしいと思うし、この夫婦がもう「今生最後の絵を」なんて悲しい絵を描かずに生きていけたらいいと思う。

 

 土佐将監は、決して「障害があるから」と又平をえこひいきもしなければ差別もしなかった。

きちんと絵を見て、絵の力で評価してくれた。

又平はいいお師匠様に師事したね…と思ってしまいました。

 

 

余談ですがさっきお話した『壷坂霊験記』はこれよりかなり「夫婦愛が起こす奇跡」に寄っていますが、ハッピーエンドだしわかりやすいし普通に号泣するしで私は大好きな作品なので、機会があれば観てみてほしいと思います。

http://www.tsubosaka1300.or.jp/report.html

 

 

 

続いては二部の『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』より 角力

 

こちらも初見です。

吾妻というめちゃめちゃ可愛い遊女の身請をめぐる二人の関取のお話です。

と言っても、関取が身請をするわけではなく、それぞれの関取を贔屓にしているボンボンの若旦那と、お役人さんたちのバトル。当時は贔屓は全力で関取をサポートし、関取も出来る限りのことを返していたそうです。

ここで出てくるお役人の贔屓は尾上松也丈演じる放駒長吉、若旦那が贔屓にしているのは中村錦之助丈演じる濡髪長五郎

「長」吉と「長」五郎で、タイトルの「ふたつちょうちょう」になるわけです。

 

このへんのことは全部イヤホンガイド先生が教えてくれました。初めて歌舞伎を観る方は試しに一度使われてみてほしいと思います。

 

そしてその濡髪を贔屓にしている若旦那こそ中村隼人丈演じる山崎屋与五郎なのです。

このお役はいわゆるつっころばしと呼ばれるお役で、突っついたら転んでしまいそうなナヨナヨした二枚目の立役です。これがまぁぁぁぁ合ってる!!

 

 フワフワしてて地に足がついてなくて吾妻大好き濡髪大好きな可愛い人。

品が良くて憎めない隼人丈のキャラクターも相まってすごく大好きなお役でした。

中村梅丸丈演じる吾妻ちゃんと与五郎くんのツーショットがあまりに美男美女だったり、推しの濡髪を褒められて身につけているものを片っ端からあげちゃうガチオタっぷりが話題になっていました。私の中で。

 

オタクに対しては推しを褒めておいて損することはありませんよ。

 

どうやら一般的にはこの放駒長吉と山崎屋与五郎は同じ役者が早替わりで勤めることもあるそうですね。

(二年前の平成中村座では、中村獅童丈が二役勤められています⇒http://www.kabuki-bito.jp/sp/play/titleCast/282

 

隼人丈は美しい二枚目ですが、体も大きくてしっかりしているので二役バージョンも見てみたいなあ…

 

 長吉と濡髪の大人の理屈はわかるんだけど…なやり取りがもどかしかったですね。

長吉にはこの先もその少し子どもっぽいようなスモーマンシップを忘れない関取になってほしいです。何言ってんだか。

 

 

 

打ち出しは賑やかで楽しい『棒しばり』

かねてよりずっと好きだ好きだと言いふらしていたこの演目をやっと生で観ることが叶いました!

 

大好きすぎるあまり何度もDVDで観たり、衛星放送で片岡愛之助丈と中村壱太郎丈のを観たりしていたのですが、やっぱり一番観ていたのは坂東三津五郎丈の太郎冠者と中村勘三郎丈の次郎冠者。

これがまた可愛いおじちゃんたちなんです…もうきっと大きめの図書館なんかには置いているはずだから観てみてほしい…

 

歌舞伎名作撰 棒しばり・年増・供奴 [DVD]

歌舞伎名作撰 棒しばり・年増・供奴 [DVD]

 

 

 

さて念願叶った巳之助丈の太郎冠者で棒しばり!次郎冠者は尾上松也丈。

 なんだか私が思っていた棒しばりよりベロベロに酔っている…!?

拭いきれないパリピ感に「おいもうそれ以上飲むな!」と思わずにはいられないような。

 

若いからどうの、未熟だから云々、とかではなく、27歳現在の巳之助丈と31歳現在の松也丈のコンビ。今この瞬間のこのコンビが浅草公会堂というロケーションだからできたこの時限りの棒しばりだと思います。

 

大名は年少の隼人丈。

「さては普段から太郎冠者と次郎冠者にイタズラされてるな?」なんて日常も見えそうな三人の棒しばりがとても楽しくて、より大好きな演目になりました。

 

コンビの踊りですから、お相手が変わればまた違いますし、前回の歌舞伎座とは空間も変わります。

(太郎冠者は2015年の納涼歌舞伎で踊った、ということを受けて)

と、筋書インタビューで巳之助丈も言っていますが、きっとこの先歳をとったりペアが変わったり、劇場が変われば同じ舞台は観られない。これがライブの醍醐味だと思うんです。

 

もうこの世にはいなくて観られない人がたくさんたくさん居る中で、ここから先、棒しばりに限らずともきっと何十年、巳之助丈はもちろん彼らの踊りやお芝居を観ていけると思うと幸せです。

 

なんてことを考えつつ、次郎冠者もたいがいだけど太郎冠者は少し飲む量とかアルコール度数を考えた方がいいと思いました。初めてお酒飲んだ高校生か。

 

 

 

あとこの一年で私が大きく成長したと思ったのは、吉野山などの清元の舞踊や、鈴ヶ森みたいな照明が薄暗くなる演目で寝ることが少なくなったことですね。

 

昨年の新春浅草歌舞伎において『土佐絵』の記憶が全くないという大失態は言わずもがなですが、どうも清元の美しいメロディーは眠くなるようで。

 

これは好きな役者が増えたお陰でガッツリ観られるようになったんじゃないかなあと思います。

 

一年前の自分にレポート2000枚分くらい坂東巳之助坂東新悟中村橋之助(当時国生)の魅力をしたためてプレゼンしたい気分。

役者から入るって意外と大きいかもしれないよね。どんなに難しくてもわからなくてもとりあえず好きな役者は見ていたいもんね。

 

 

 

 

というわけで

昨年も楽しかった新春浅草歌舞伎ですが、今年は何倍も楽しくなりました

 

詳しくなったら細かい面ばかり見えて面白くなくなるんじゃないか、と思っていたけれど、話の内容や時代背景、役者なんかを知っていれば俄然物語や舞踊を深く見ることができるし、深くまで見えればもっと大きく感動できるんだ、ってことがわかりました。

「楽しもう」という大前提のもとに勉強していなければ当然楽しめなくなってしまうと思うけれど、「楽しいエンターテインメント」「辛い時の現実逃避先」として歌舞伎と出会ったので、私は来年の新春浅草歌舞伎も今年より全力で楽しんで参りたいと思います。

 

来年は何がかかるのかな。

誰が出るかな。

すし屋 で新悟ちゃんの弥助が見たいな。

正月から重すぎるなあ。

 

こんな妄想ができることが楽しいです。

 

 

来年の私ももっと歌舞伎好きになっていますように!

 

 

 

ツチカワ

 

 

2016年心に残った舞台オブ・ザ・イヤー

 

今年も割とそれなりにたくさん舞台を観ました。

 

ワンピース歌舞伎から入ってきたニワカということもあり、一月の新春浅草歌舞伎を皮切りに(ほぼ)毎月歌舞伎を観ていたと思います。

 

ドン!

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 下半期にやや狂気しか感じない

 

 

 

ノミネート作品はこちら。

 

 

 1.『うるう』(於:いわき芸術文化交流館アリオス

4年前に上演されたものの再演。4年前は銀河劇場に観に行っていますが、今年は福島まで遠征しました!

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冷たい北の空気がほんのり混じる中に、宮沢賢治のエッセンスをちょっぴり取り込んだような『うるう』の雰囲気がぴったりでした。

 

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4年前、私はまだまだ夢に夢見るうら若き高校生でありましたが、今はそれなりに厭世観も帯びてきたフリーター。「4年」というものの大きさや長さ、積み重ね、別れ、あの頃と同じ感動も異なる感想も、いろいろ出てきた大好きなお芝居。

 

ちなみに、私が初めて観に行った舞台は、4年前の『うるう』でした。

 

 

 

2.スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』(於:博多座

ハイ!私の原点!ワンピース

 

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と言っても新橋演舞場の初演の頃には『ワンピース』の話なんて全く知らなくて、舞台を観ていてもほとんどの登場人物は知らない人たちで、もちろん役者さんも多分ほぼ全員知らない人。

(少し話は逸れるが、昨年2015年に上演された歌舞伎NEXT『阿弖流為』を観た頃は、中村勘九郎すら知らない非国民だった。)

 

その初演から約4ヶ月ほどの時を経て、役者を推すようになり、漫画を鬼のように買い漁り(結局観劇日までに原作は読み終わりませんでした)、博多座へ行く頃には大ッッッッ好きな舞台になっていました。

 

熊本の地震があったりもして、きっと役者さんたちもお客さんも沢山思うことがあったであろう博多公演。

来年も10月と11月に再演があるけれど、もし機会があればぜひ博多座でも。あの日観られなかった人達が観られることがあればいいなあって思います。

 

 

 

3.木ノ下歌舞伎『義経千本桜-渡海屋・大物浦-』(於:東京芸術劇場シアターイースト)

私の、人生二度目になる木ノ下歌舞伎

 

ご存知の名作義経千本桜』より「渡海屋・大物浦」の場面を現代化アレンジしたもの。

この一週間後に歌舞伎座で「渡海屋・大物浦」を観たので、そのまま残しているところやアレンジされているところ、話の筋など比較できたのも面白かったですね。

 

 

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終演後ロビーにて、(おそらく)関係者と思しき方々たちが挨拶しているのを20分くらいじっと待って、主宰の木ノ下氏にいくつか質問させていただいたりしたのも思い出。

こんなパッパラパーの私の質問なんぞにも丁寧に答えてくださった主宰…

間違いなく私を歌舞伎好きにした1人だと思います。

 

 

 

4.八月納涼歌舞伎(於:歌舞伎座

これはもう言わずもがな。

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※歌舞伎公演は演目単位ではなく興行ごとに挙げさせていただきます。

 

5月に初めて歌舞伎座に来てから3ヶ月。

幕見や三等席を利用しながら、上から観続けていた私がとうとう一階席デビューをしました!

「納涼歌舞伎」「三部制」のせいで(本当に少しだけ)安かった切符代。初めての一階席はかぶりつき一列目でした。

 

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遮るものが全くなくて動揺する私

 

幕見、下界席含め一番課金したのが『嫗山姥』でした(贔屓が二人いっぺんに出ていた上に仕事前に行ける時間帯だったのが敗因)。

 

お祭りのような東海道中膝栗毛や、キュンと切なくて温かい新作歌舞伎廓噺山名屋浦里』などなど、古典も新作も楽しい演目が目白押しの、夏休みにぴったりな浮かれた1ヶ月でした。

 

 浦里については以前感想を書きました。

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(お写真も含めて6万超えたことについてはもう触れないでください。)

 

 

 

5.歌舞伎女子大学『菅原伝授手習鑑に関する考察』(於:学習院女子大学やわらぎホール)

坂東新悟丈のブログで知ったこの公演。

以前、木ノ下歌舞伎にも出ていた熊川ふみさんも出演されると知って観劇しました。

 

単純に現代化アレンジする、だけではなく、とあるOLであったり男の子であったり。どこにでもいるような「誰か」の目を通して「歌舞伎」を考察していくお芝居。

 

再演の『妹背山婦女庭訓に関する考察』と、今年の新作『菅原伝授手習鑑に関する考察』の2作が上演されましたが、2回観たこともあって菅原〜 の方が印象に残っていたということで、こちら。

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 はじめは独特の形式やめくるめく登場人物たちについていくのに必死だったけれど、2回も観ればすんなり物語は入ってくるし、時間の経過とともにじわじわと脳と心に染み入ってくるような舞台でした。

 

Sunset Lover

Sunset Lover

  • Petit Biscuit
  • エレクトロニック
  • ¥250

https://youtu.be/wuCK-oiE3rM

おそらく、最後の「梅王丸は本当はこうしたかったんじゃないか」エンドの場面で流れていた音楽だと思います。

 

参照:坂東新悟のしんごろく-「考察」 http://s.ameblo.jp/goroku456/entry-12219545571.html

 

二週間は引きずる舞台でしたし未だに思い出しては泣きそうになる…

『菅原伝授手習鑑』が大好きになった、印象深い舞台でした。

 

 

 

 

 

 

以上、5作品です。出揃いました!!

 

なんだか『うるう』以外全て「歌舞伎」って入ってますね。

一応 歌舞伎2:現代劇3 の割合なのですが、歌舞伎を元ネタに作っているお芝居が多い気がします。

 

歌舞伎役者の座組に外部の役者を取り入れたスーパー歌舞伎

現代劇役者の中に歌舞伎役者を組み込んだ歌舞伎女子大学

現代劇役者のみで歌舞伎を現代をアレンジした木ノ下歌舞伎

 

 

「じゃあ何が歌舞伎なのさ!」

の定義がわけわかんなくなるような新しい歌舞伎

 

何が歌舞伎なのか。

私は詳しくないのでわかりません。が、割とお芝居は雑食で何でも美味しくいただけることがわかったので、途中で「あ、これはミュージカルみたい」と思えばその心持ちで楽しめるし、「これは演劇に寄ってるかもしれない」と思えばそれはそれでまんまと感動して帰れる。

 

改めてお芝居が好きだなぁ、と感じた一年でした。

 

 

 

さて!

 

そんな個性的な私的ノミネート作品

果たしてグランプリは……………!?!?

 

 

 

 

 

 

 

無し!!!!!!!!

 

全部好き!!!

ここに載せていないものも全部楽しかった!!!!!

 

 

代表として

「何だかめっちゃ金かけたわ(笑)」

「観た後も数日思い出し泣きをするなどしていた」

などなど振り返って思い出深いものを並べてみました。

 

 

歌舞伎を観始めたり、歌舞伎役者を追っていたら巡り巡ってまた現代劇に戻ってきたり、その影響で小劇場演劇に再び興味を持ったり、苦手なミュージカルを克服したり……

 

 

たくさんのお芝居に出逢えた2016年に感謝しつつ、2017年はもーっとたくさんのお芝居に出逢えたらいいなと思います。

 

 

 

ちなみに私の2017年芝居初めは新春浅草歌舞伎、初日から始まる予定です!

 

 

 

 

良いお年を。

 

 

ツチカワ